河野大臣記者会見(令和6年4月9日)
河野デジタル大臣記者会見要旨
(令和6年4月9日(火)9時10分から9時33分まで 於:オンライン)
1. 発言要旨
今日の閣議でマイナンバー法改正法等の施行期日を5月27日と定める政令が決定されました。国民の皆様の利便性向上につながるもので、主なポイントが4つございます。
まず、5月27日(月)からマイナンバーカードを海外で継続的に利用することが可能となります。海外に赴任あるいは留学されるような場合に、マイナンバーカードが失効することなくお持ちいただくことが可能です。また、在外公館でマイナンバーカードの申請や受取ができるようになります。細かな手続の詳細は、5月27日までに順次、総務省、外務省から公表されます。
2つ目、マイナンバーカードの利用方法のうち、暗証番号を入力しない「かざし利用」に関する規定も5月27日に施行されます。規定が明確にされたことで、例えば図書館カードや避難所の入退場の記録など、「かざし利用」でのカード利用を推進していきたいと思います。
3つ目、同じく5月27日から、医師、保育士、税理士、理容師、美容師、建築士を始め、80近い国家資格等の資格がマイナンバー利用事務に追加されます。システム整備をデジタル庁で進めておりまして、6月以降順次、資格者の手続をマイナポータルから可能にして、添付書類の省略などを実現してまいります。
4点目、給付を受けるための公金受取口座について、登録方法を拡充いたします。公金受取口座は、口座登録しておくことで、通帳の写しなどを送らなくてもよくなります。迅速な給付につながることになります。現在はマイナポータルなどから登録することが可能ですが、ご高齢者、デジタルに不慣れな方も簡単に登録できるように、日本年金機構と連携し、年金受給口座をそのまま登録することができるようにしたいと思っております。登録するかどうかは、対象となる方にお伺いをしてまいります。これは今後、やや時間がかかりますが実施してまいりますが、これとよく混同されているのが、この4月1日に施行された口座管理法です。SNS上でも混同されていますが、口座管理法では、希望する方が任意で金融機関にマイナンバーを届け出て、口座にマイナンバーを紐付ける。災害時あるいは相続のときにマイナンバーで口座を確認することができる制度で、これと公金受取口座とは全く別物です。口座管理法では、届出がないのに口座にマイナンバーが紐付けられることはありませんし、金融機関からの通知に回答しないと勝手に口座が紐付くというのも誤った情報です。国民の皆様の利便性向上と、制度の丁寧な周知広報をしっかりやってまいりたいと思います。
デジタル行財政改革 課題発掘対話、6回目となります今回は、「デジタル行財政におけるインパクトスタートアップとの連携」というテーマで、明日の17時半から行います。
利用者起点を重視し、関係者との対話を通じて、解決すべき課題の整理を行うという観点から、人口減少社会において介護、子育て、防災、こうした公共サービスを維持しながら、社会変革と価値創造を促すことを目指しているのがデジタル行財政改革の理念です。この理念を実現するためには、自治体とか既存の企業に加えて、社会的課題・環境的課題の解決や、社会的・環境的な新たなビジョンを実現しよう、そして持続可能な経済成長をともに目指していこうという、新しいスタートアップが今いろいろなところで立ち上がっています。これを総称して「インパクトスタートアップ」と呼んでいますが、インパクトスタートアップのアイデアや機動力というものが、この社会変革あるいは新しい価値の創造には不可欠だと思います。
こういう社会課題の解決分野において活動しているインパクトスタートアップは、急激な成長を求める従来のスタートアップ企業を支援する手法とは違った形で支援していくということが大事かなと。この社会課題の解決に向けたインパクトスタートアップの活躍環境をどうつくるかということは、更なる工夫の余地があると考えております。今年2月から3月にかけてデジタル行財政改革会議事務局のメンバーが全国各地を視察し、各地のインパクトスタートアップ関係者からヒアリングをいたしました。そうしたものを踏まえて、この度、課題発掘対話を行います。
今回は、東京の有楽町にあるTokyo Innovation Baseで開催し、YouTubeで中継いたします。アーカイブもご覧いただけます。内閣官房のウェブサイトに記載してあるURLからご視聴いただきたいと思います。詳細は、内閣官房デジタル行財政改革会議事務局にお問合せをいただきたいと思います。
今週11日(木)に、規制改革推進会議の地域産業活性化ワーキング・グループの第10回を開催いたします。これも、規制改革推進室のYouTubeチャンネルで生配信いたします。可能なら、私も参加したいと思います。今回も移動の足の不足の解消をテーマに議論いたします。
昨日から自家用車活用事業が実際にスタートして、私も出発式に参加し、実際にライドシェア、MINIのCLUBMANという車でしたが、乗ってみました。
現実にどの程度、この自家用車活用事業が全国各地の移動の足不足の解消につながるのか、具体的なエビデンスをしっかり集めていきたいと思います。タクシー事業者以外のライドシェアに係る法制度をどうするのかという関係を含め、エビデンスに基づいた議論が必要だと思います。
ワーキング・グループでは、国土交通省から昨日開始されましたライドシェアの状況について報告いただいて、今後どのように効果を検証するか、モニタリング項目について議論いただきます。また自家用車活用事業のためのドライバー確保が順調に行っているのかどうか、これも安全の確保を前提に、ドライバーにとって魅力的な働き方とは何か議論いただきます。
政府として繰り返し申し上げているように、守るべきは国民の移動の自由であって、既得権益ではありません。6月の規制改革の実施計画に向けて、移動の足不足を一刻も早く解消するための議論を加速してまいりたいと思います。
2. 質疑応答
(問)インパクトスタートアップについて教えてください。この会議をこのタイミングで議論する意義と、インパクトスタートアップについて更なる工夫の余地があるというご指摘がありました。現状の課題どのようなところを感じているのかを教えてください。
(答)今年2月から3月にかけて、デジタル行財政改革会議事務局のメンバーが各地を回っていろいろヒアリングをしてくれました。スタートアップという場合に、経済成長を目指していく、企業の急激な成長を目指していくスタートアップと、今回テーマになります社会的課題・環境的課題を解決しながら新しい価値をつくっていこうというスタートアップ、こちらを「インパクトスタートアップ」と呼んでおります。このインパクトスタートアップをいかに成長させるかという観点からいうと、例えば過疎地、人口が減ってる地域は市場という観点から見ると市場規模が小さいということがあります。また、いろいろなことをやろうとするときに規制を始め公的機関との調整が今の場合は極めて複雑になっている、それから投資家からも企業を成長させようというスタートアップと比べるとリターンが小さいと思われている、こういう課題が浮き彫りになってきました。スタートアップ全般の支援は税制や金融など、いろいろと今まで施策を講じてきたわけですが、この社会的な課題解決のためのインパクトスタートアップの環境整備というのは、今までの企業を成長させるスタートアップ支援とは少し違って、政策的な対応が十分ではないのではないか、そういう思いがありますので、今回のこの地方行脚で得た様々な知見を踏まえて、今回、関係者との対話を通じていろいろ議論をしていきたいと思っております。
(問)マイナンバー法改正法等の施行期日について、ポイントとして挙げられた4つは、いずれも5月27日付の施行でいいのかということと、公金受取口座の年金口座の登録があると思うが、対象者への通知はいつ頃から始める予定でしょうか。
(答)先程申し上げたのは、いずれも施行日5月27日になります。年金口座に関するお知らせについては、システムの改修をやらなければいけないので時間がかかります。システムの改修がきちんとできて、タイミングが見えた段階で改めてしっかりお知らせをしたいと思います。
(問)読売新聞とNTTが昨日、生成AIに関する共同提言を発表しました。制度と技術の観点からAIの規律の活用の両立を求める内容となっています。河野大臣はかねてから生成AIに関しては、フェイクニュースへの対応の重要性などについて指摘されていましたけれども、提言の受け止めや全体の評価についてお考えをお聞かせいただきたい。また、提言は、選挙や安全保障分野での生成AI利用を制限する法整備を求めています。選挙や安全保障という観点で、生成AIについて、どういう問題意識を持って課題解決を進めるお考えか、大臣のお考えをお聞かせください。
(答)生成AI、企業を始めとする様々な分野での生産性を上げる効果は非常に大きいと思いますので、国内でも生成AIの利用促進は非常に重要だと思います。また、教育の分野でもこの生成AIの利用について、しっかり取り入れていくことが重要だと思います。他方、この生成AIを使った偽情報あるいは著作権侵害といったリスク、あるいはサイバー攻撃にも使われかねないというリスクもありますので、そこは十分に注意していく必要があると思います。ただ、そういうフェイクニュース、偽動画、偽画像、こういうものを見分けるための技術の革新というのも重要になりますので、AIのリスクについては、AI技術を進展させてそれに対抗するというのが大事だと思います。選挙にそうしたことを使ってはいけないという法整備、これは必要なのかなと思います。ただ、安全保障あるいは選挙でもそうですけれども、海外からのAIを使ったフェイクニュースの拡散あるいは攻撃というものは、日本の国内法では取り締まることができません。あるいは、国際的な条約が仮に制定されたとしても、おそらくその条約に縛られないアクターのAIの利用というのは当然あり得ると思いますので、やはり最終的にはいかに技術でこの技術の悪用に対抗するのかが極めて大事になってくると思います。
(問)提言に対する評価、受け止めはいかがでしょうか。
(答)読売新聞とNTTが共同提言されたというところは見ました。まだ中を詳しく見ておりませんが、見出しを見るとそういうことかと思いました。
(問)今月13日に大阪・関西万博の開催を控えちょうど1年を切ることになります。パビリオン工事では施工するゼネコンが決まっていない国も一定数ある中で、能登半島地震後の今年1月には、一部閣僚から首相に対して開催の延期を進言するような動きもありました。河野大臣は現時点で来年4月の開催が適切であるとお考えでしょうか。また、ご認識として予定どおりの開催は可能であるとお考えでしょうか。
(答)万博の開催地を訪問したこともありませんので、状況はよくわかっておりません。自見大臣あるいは経済産業大臣にお尋ねいただきたいと思います。
(問)デジタル行財政改革の課題発掘対話についてお伺いします。デジタル行財政改革の職員の方がインパクトスタートアップ企業のヒアリングを行ったということですが、例えばどのような企業、どのような場所を視察・ヒアリングされてきてるのかを伺える範囲でお伺いできればというのと、その内容が明日の課題発掘対話でどのように反映されていくのか見通しがあればお願いします。
(答)詳細は事務方に聞いていただけたらと思いますが、沖縄、大阪、神戸、名古屋、九州、盛岡、浜松などへ行っております。
(問)そこでのヒアリングの内容は、明日の課題発掘対話の中で何か話されたり、反映されたりということはあるのでしょうか。
(答)そこでどのような意見が出たかはまとまっているかと思いますので、広報にお尋ねいただけたらと思います。
(問)ライドシェアについてお尋ねしたい。タクシー会社によっては、雇用条件に合う運転手を見つけるのが難しいという声も聞いているのですけれども、大臣個人として変動価格制やタクシー会社以外への参入についてどうお考えなのかということと、6月までに議論するということだったと思いますが、駆け足で進んでいく中でデータがそこまで集まるのかという声も聞きますが、6月ということでいいのか、お聞かせください。
(答)昨日からスタートしましたので、いろいろなデータをとっていきたいと思っております。どれだけの方が使われているのか、あるいは移動の自由の制約がどれぐらい解消されたのかというところはもちろん、今のルールでライドシェアのドライバーをやってくださる方がどれぐらいいるのか、その人たちの収入がどうだったのか、もちろんそういうデータもとっていきたいと思っております。3号のほかに2号も順次スタートとしていきますので、そうした状況を見ながら6月に向けて新法の議論というのも、総理からの指示もありましたのでしっかりやっていきたいと思います。
(以上)